ミネラルスターの水稲に対する効果事例及びアクアポリン水透過性試験

ミネラル豊富な天然鉱物と太古の植物に由来した天然腐植を加え、「自然農法」や「自然栽培」(有機JAS規格適合性評価済み)に対応した粒状の土壌改良材です。その主原料は、群馬長石 御座入鉱山の約6500万年前の地層を露天掘り採掘して、粉砕したものを使用しています。

ここでは、ミネラルスターをご愛用頂いている、山形県高畠町の遠藤五一さんの事例及び、2020年大分県中津市で試験した、ミネラルスター処理によるイネの生育および収量に関する試験結果およびアクアポリン調査結果をご紹介します。

ミネラルスターの水稲に対する効果事例1

  • 山形県高畠町の遠藤五一さんは、「米・食味分析鑑定コンクール」で2002~2006年5年連続金賞受賞。翌2007年には全国で7名しかいない「ダイヤモンド褒賞」を受賞された日本一うまいお米の生産者です。
  • 無農薬米や有機栽培にこだわった米作り。その技術の一翼をミネラルスターが担っています。
  • 本田の基肥期に60㎏/10a、追肥期に20㎏/10aの使用です。

2018年遠藤五一さんコシヒカリ無農薬・無化学肥料栽培田んぼ

ミネラルスターの水稲に対する効果事例2

ミネラルスター処理によるイネの生育および収量に関する試験結果
(アクアポリン調査も実施)

  • 試験期間 /場所
    2020年5月14日(散布日)~2020年10月10日(収穫日)
    大分県中津市山国町のN氏水稲圃場
  • 栽培品種
    イネ(ヒノヒカリ)田植え日2020年6月6日 畦間25cm・株間17cm(m2当り24株)
  • 試験区の設定
    N氏水稲圃場のうち2面を使用、1面をミネラルスターを散布する散布区とし、もう1面を散布しない対照区とした。面積は散布区圃場が885㎡、対照区圃場が825m2である。両区共に、元肥として、園芸化成骨粉入り264号(N12-P16-K14-Mg3)を5月14日に40kg/10a施肥した。追肥は実施せず。
散布品 散布場所 1回目
5月14日
2回目
8月7日
(試験品)ミネラルスター 散布区のみ 100kg / 10a
(5袋)
20kg / 10a
(1袋)
(元肥)園芸化成骨粉入り264号 散布区
対照区
40kg / 10a

 

試験結果1

109日調査データと1010日収穫量データは表1のとおりである。散布区は対照区と比較して、草丈が若干低く、茎が若干太く、葉の緑色は薄く、根が発達していた(3ページ写真1参照)。また、穂数が多く、粒数が多く、千粒重も重くなっていた。収穫量も21%増の結果であった。

表1 10月9日調査データおよび10月10日収穫量データ
項目 / 区 散布区 対照区
10月9日
調査データ
(両区3株調査)
草丈cm (平均) 103 106
スパッド値 (平均) 7.2 13.6
葉色スケール値 1 1.5~2
根重g (平均) 1.6 1.3
茎数 / 株 (平均) 18.7 17
穂数 / 株 (平均) 18.7 17
粒数 (合計) 4602 4589
粒重 g (合計) 105.59 101.01
一粒重 mg 22.94 22.01
千粒重 g 22.94 22.01
10月10日
(収穫量)
10a当り実収穫量 kg 690 569
対照区を100とした指数 121 100

試験結果2

葉緑素量の推移を表2に示す。
栄養生長期(6/6田植~7月下旬頃)を過ぎ、交代期(8/上~8/下)の8月7日幼穂形成期、および生殖生長期(9/上~収穫まで)の9月15日登熟期・10月9日収穫1日前に葉緑素を計測した結果、散布区は対照区と比べて葉緑素が低下していった。散布区は対照区と比べて生殖生長期に体内窒素が有効に使われたと考えられる。

また、土壌化学性調査では、アンモニア態窒素の他に交換性カリも多くなっており、炭水化物の蓄積や開花結実も促進されたと考えられる。

2 葉緑素量(スパッド値)測定結果推移
(コニカミノルタのスパッド計で測定)n=10

生育ステージ / 区 散布区 対照区
①8月7日
幼穂形成期
35.3 35.7
②9月15日
登熟期
23.4 25.3
③10月9日
収穫1日前
7.2 13.6

試験結果3

土壌化学性の推移を表3に示す。散布区の対照区と比べた傾向は次のとおりである。

  1. アンモニア態Nは、幼穂形成期の87日に増えた。土壌中の有機態Nが土壌微生物の働きでアンモニア態Nに変化したものと考えられる。
  2. 交換性のカリが期間中継続して増えた
  3. ミネラルスター散布後にケイ酸が増加した。

3 土壌化学性分析結果の推移

109日(収穫1日前)の散布区と対照区の状況

 

アクアポリンの調査

調査方法

1) 試験水の採取
6/13活着期と9/15登熟期に両区水田のイネの根廻りの土を採取し、凍結乾燥し、水田土水を回収した。同じ圃場のイネの出穂を9/3の乳熟期に採取し、同様に凍結乾燥し、出穂穂水を回収した。

2) アクアポリン水透過性の測定
イネのアクアポリンPIP遺伝子(正確には遺伝子RNA)を顕微鏡下で、アフリカツメガエルの卵母細胞に1~25ng/50 nl注射した。PIP遺伝子として、PIP2;1、PIP2;2、PIP2;3、PIP2;5、PIP2;6の6種類を用いた。注射された卵母細胞を2~3日間培養液(Birth Medium)中で培養すると卵の表面の細胞膜にイネのアクアポリンが発現する。この卵を試験水の中に入れると、培養液より浸透圧が低いので、水が卵の中に入ってくる。水の入る量が多いと、卵はより速く膨らむ。この膨らむ速度を顕微鏡下でビデオ撮影し、体積を計算して、水の透過率を計算した。

調査結果

3) 図1に、ミネラルスター散布水田土水および対照水田土水のアクアポリン透過性の結果を示した。
田植え(6/6)後の活着期に当たる6/13は、ミネラルスター散布区のPIP2;1PIP2;2およびPIP2;6に対する透過性が対照区の1.2倍、1.14倍および1.16倍高かった。イネの穂の細胞の中の水を乳熟期に当たる9/3に調べると、図1に示したように、特にPIP2;1透過性が高いことが分った。即ち、乳熟期のイネの籾はPIP2;1を一番求めていると解釈できる。登熟期に当たる9/15になると、ミネラルスター散布区のPIP2;5およびPIP2;6に対する透過性が対照区の1.18倍および1.25倍高かった

図1 ミネラルスター散布水田土水のアクアポリン(PIP)透過性(相対値)

図1 ミネラルスター散布水田土水のアクアポリン(PIP)透過性(相対値)

以上の結果、ミネラルスター散布区は穂が求めるPIP2;1透過性のある水田土水が多くなった(図1)。

イネが求めるイネアクアポリン水が多くなったことが、①穂肥が必要と言われている8/7幼穂形成期のアンモニア態窒素が増えたこと(表3)、②葉の葉緑素量の推移で示されるように、窒素の効率的な吸収と体内で有効に使われた(表2)ことに繋がっている可能性があり、そのことが原因の一つとして収量が21%増加したと考えられる。

※イネアクアポリンについては、2019年から調査をしています。上記結果と合わせ「2020年度ミネラルスター処理水田の収量とアクアポリン透過性に関する試験結果報告書」にまとめてあります。

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